ワタシノアタマノナカ

大人の読書感想文

公園のベンチでコーヒーを飲む幸せ

パーク・ライフ 吉田修一

 

ー忙しく巡る大都会の中の、何もしないことが許される場所

 

ある電車の中、"人違い"で話しかけてしまった女性と再会したことから始まる、

日比谷公園を舞台とした"僕"の静かな日常のお話。

 

大事件勃発!!といったことは取り分け無く、

電車に乗って、仕事をして、カフェに入って、公園でベンチに座って...

といった具合にほぼ水平面上にお話は進むのだけど、

なんていうか、その日々の風景の中でお話が進むからなのか、親近感が湧きやすい。

それも"公園”を舞台にお話が進むので、尚一層のこと。

 

僕を取り巻く友人や同僚、公園で出会う人たち、お店の店員さん、

そしてお話の要となる一人の名も知らぬ女性

 

公園のベンチに座った僕になったような気分で、気づけば出会う人物たちについて考えしまっていたの。

 

最後の女性の一言が気になって気になって...

読み終えて一息した今でも心のどこかに引っかかって、あれは一体...

 

 

もう一つの作品、「flowers」

上京した先の職場を中心に展開される青年のお話。

これも何気ない仕事を通してお話が進むのだけれども、

暴力的な面・性的な面・陰湿な面....

いわゆる、人間と呼ばれる生き物が持っている内面みたいなものが滲み出る中での人間関係を覗いているような気持ちになりました。

題名にもある通り花も多く登場し、それらが相まってよりお話に深みを増しているのかしら。

(上手く言葉で表せているかどうか...)

自分自身の底も覗かれているような、人間としての不気味さを感じた作品でした。

 

 

公園に行きたくなったので、このあたりで👋

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