ワタシノアタマノナカ

大人の読書感想文

来い!クラゲ!

【晴れ、時々くらげを呼ぶ  鯨井あめ】

 

ー一緒に世界に迷惑をかけよう

 

秋の夜長にこんばんは。

時刻はすっかり子の刻を過ぎ、辺りは虫の大合唱祭。

 

今日はクラゲを降らせたい高校生のお話。

....そうよ??クラゲ乞いよ??

なんじゃ、クラゲ乞いを知らないのかね??

私も知らないです。いえ、”知らなかった”という方が正しいかしらね。

 

クラゲを降らせたい。

それだけを想い続ける内容になぜか引き込まれていく。

 

そして、お話のキーワードは『迷惑』

主人公・亨が父親から最期に言われた言葉「迷惑かけてごめんな」

世界中に迷惑をかけたい亨の後輩・小崎

 

迷惑めいわくメイワクメイワクメイワクメイワク...

迷惑をかけるって一体何だろう??

迷惑は善なのか、悪なのか??

”迷惑をかけること”と”クラゲを降らせること”に何の共通点があるのだろう??

 

現実とファンタシーが上手く融合していて、美しい。

一見ありえないようなことだが、どうなっていくのか気になってしまう。

 

作中のクラゲは気象の影響で降ったのか。

それとも、理不尽を、辛くてたまらない今を乗り越えたくて降ったのか。

そんなことをぼんやり考えております。

 

あとは他に、作中にたくさん本が登場するのとキャラクターがなんか、良い。

特に矢延先輩がお気に入り。

亨の一つ上で、図書委員の作業場の司書室で受験勉強のためにそこにほぼ住み着いている人物なんだけども、

おもしろおかしく大事なことを伝えようとしてくれたりとか、

本からの引用だけでなく持論もしっかりと持っているところとか、

こんな先輩欲しかったで賞をあげたいくらい。

 

矢延先輩が、本のことを

「枕元に置いておきたい芸術」

って表現するのね。

まさしくそれ。それなの、それすぎるの。

 

この本も、そんな一冊....zzz

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